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平成15年3月期決算における税務上の留意事項

平成15年の税制改正で「相続時精算課税制度」が創設されました。


1.「相続時精算課税制度」とは
「相続時精算課税制度」は、生前贈与により財産を取得する際、一定の要件を満たす者がこの制度を選択した場合は、贈与時の贈与税が軽減され相続時に相続税で精算する制度です。

2.制度導入の背景
従来の贈与税は、相続税の課税を免れるための生前贈与を防ぐという趣旨から、高い税率が課されていました。このため高齢者から次世代への財産の承継は、相続を通じて行われるのが一般的です。
しかし、我が国の高齢化に伴い次世代への資産の移転が進まず、資産の有効活用という観点から望ましくはありませんでした。
このような状況のもと、生前贈与と相続との財産承継時の選択に関して税制の中立性を確保すべく今回の改正で贈与税と相続税の一体化課税方式が導入されました。

3.制度の概要
平成15年1月1日以後に財産の贈与を受けた人は、贈与をした人ごとに相続時精算課税制度を選択することができます。
(1)要件
・贈与した人→ 65歳以上の親
・贈与を受けた人→20歳以上の子である推定相続人

(2)相続時精算課税制度を選択する場合
→贈与財産が2500万円を限度として贈与税が非課税となります(非課税枠は2500万円を限度として累積的に複数年にわたって使用可能、非課税枠を超える部分については税率20%で課税)。
→精算課税制度を選択する受贈者は、贈与をうけた年の翌年の2月1日から3月15日までの間に相続時精算課税制度を選択する旨の「届出書」「贈与税の申告書」とともに提出しなければなりません。
→贈与者がなくなった時(相続発生時)の相続税の計算上、相続財産の価額に相続時生産課税制度を適用した贈与財産の価額を加算して相続税を計算します。

(3)相続時精算課税制度を選択しない場合(暦年課税)
従来どおり、贈与税は毎年1月1日から12月31日までに受贈した財産に課税されます。基礎控除額は110万円で税率は下表のとおりです。贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日までの間に申告します。

基礎控除後の課税価額 税率 控除額
200万円以下 10% 0
300万円以下 15% 10万円
400万円以下 20% 25万円
600万円以下 30% 65万円
1000万円以下 40% 125万円
1000万円超 50% 225万円

4.コメント
将来的に財産を承継する予定の方々がこの制度を利用することについては、課税上、絶対的に有利であるとは言えません。選択の適用による有利・不利は個々の案件によって異なります。一般的にはすべての相続財産の想定価額が相続税の基礎控除額の範囲内であれば、2500万円までの財産は、課税の制約を受けずに財産の移転を早期に実現することが可能であるといえます。

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