[ IT ]
ITに接する心得
アイティーアイティーと毎日のようにどこかで聞くこの言葉。果たして Information Technology
は、私たちに何をもたらすのでしょうか。
つい先日、イベントのチケットを購入する機会がありました。電話で予約して、チケット購入はコンビニで。こんな買い方は最近ではあたりまえになってきました。
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コンビニへ行くと、専用の電話が置いてあり、受話器をあげると、チケット発行のオペレーションセンターへ繋がります。予約番号を告げると3分〜5分でコンビニのカウンタ下に置いてあるプリンタに信号が送られて、チケットが印字され、代金と交換でチケットを受け取るという仕組みらしい。なるほど、全てをコンピュータにやらせるよりも、もしかすると安上がりかもしれませんね。
「まあ、昔のようなデザインされたチケットは、望まれへんなー。愛想のないチケットはあんまり好きになられへん。でもまあ、チケットのデザインをして、印刷して、1枚1枚にもう一度座席を印刷して…なんて費用が要らないわけやし、これはこれで経費節減になってるんかなあ?」
などと、ぼんやり考えること約5分。カウンタに呼ばれ、代金を言い渡されます。ここまではどうってことありません。
しかし、チケットを見ると、座席の印字が鮮明じゃない。
── こ、これ、会場へ行ったときにトラブルになれへんか?
そう思った僕は、バイト君に言ってみました。
「これ、座席がきちんと判読しづらいんやけど、こんなんでええの?」
なにしろ1万円以上も支払うのだから、そんなに払って(いや、1円でもお金を支払うのにというべきか?)トラブルなんてごめんこうむりたい。
「えと… ちょっ、ちょっと待ってくださいね。」
店の奥へ走るバイト君。1分しないうちに走って来た。
「すみません。もう一度印刷して再発行しますから、ちょっと待ってください。」
そう言って、また店の奥へ走っていくバイト君。なんか嫌な感じです。この現場でトラブルが発生しているのですから。
── そもそもチケットを再発行ってどういうことや!? 同じ座席の番号が書いてあるチケットが2枚も発行されることになるねんで!? 大丈夫なんやろか。
2〜3分して戻ってくると、
「今、再発行してもらえるように連絡しましたから、しばらくお待ちください。」
── う〜ん、さっきのチケットを発行するのに約5分かかっているので、あと5分ぐらい待つとチケットがまた印刷されるってことかな?
── 待てよ!? 同じように信号が送られて、同じプリンタで印刷すると、結果は同じようなものにしかなれへんのんちゃうか!? いや、その辺は何か…たとえば、ドットインパクトのプリンタなら、印字圧を上げるとかして対応するやろ。なにも対策なしで、同じことを2度やるほどあほやないやろ。
そんなことを心配しながら、待つこと10分弱。やっとのことで、さっきよりも少しだけましなチケットが印刷されました。
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持ち帰ったチケットの文字
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「えと、これでいいですかね?」
「まだ文字が完全じゃないところがあるなー。ほら、この『3』という文字。最後が切れてる。」
「あ、そうですね。じゃあ、ボールペンでなぞっておきましょうか?」
さすがにあわてました。
「ちょっちょっちょ、やめて。そんなことしたら、あかん!」
なぜこんな基本的なことを言わないといけないのか、呆れてしまいました。
アイティー破れたり!
チケット印刷の仕組み、チケットという物の性質を理解しない店とバイト君は、便利なはずの仕組みを、いとも簡単に不愉快きわまりないものに変えてしまったのでした。誰にでも使いやすいはずの
IT、情報技術も、理解のできていない人は、現場の人間には、なってもらっては困るのです。
いや、1ユーザーの立場であっても、理解がないと、困る場面は、きっと山ほど出てくるでしょう。「誰にでも使える」なんていうのは、技術にユーザーがついていってこそ、成り立つものでしょう。SF映画の中などで、コンピュータに言葉で命令していても、その言葉には難解なものがいっぱい出てくることに、気が付くべきですね。
(2001.07.05 角)